愛を乞う人

僕はこれから仕事なんでね、さわやかな気分で行ってくるよ。職場がアレなもんでね。気持ちをそれなりに盛り上げなきゃまずいだろ。そんな時はやはり音楽を聴くに限る。


テレビじゃ石田純一が裸足でしゃべっていたけどそんなのは関係ないからね。


以前、僕がやってた小さなお店のオープニングはいつもこの人のアルバムから始まっていたんだ。


はっきり言おう。


このアルバムを聞いたことのない人は人生の半分を損している。まぁ、いくつかのCMなんかで曲じたいは耳にしたことくらいはあるだろうがね。なんつっても全世界の人々が人種を問わず愛したアルバムなんだ。


キー・オブ・ライフ(Songs in the Key of Life)って名前くらいは聞いたことがあるだろう。





これはそのアルバムの1曲目なんだよ。ああ、こんなことしてたら遅刻しそうだ。もう時間だ。早く余裕のない人生からオサラバしたいが、なんといっても電車なもんでね。そろそろ行かせてもらうよ。


今日は電車でも楽しみがあるんだ。古本屋で100円で買った下田治美の「愛を乞う人」を読むのさ。なんかドロドロした昼メロみたいな話なのかもしれないけどね。ああ、本格的にマズい時間だ。本当にそろそろ行かせてもらうよ。電車は待ってくれないからね。